皮革に描かれたタンカの絵画と収集の価値 荘尚諭氏:同好者と交流のパイプを築きたい/中華新聞報

記者 駱献義 高雄より報道


タンカはチベット文化の独特な絵画の芸術形式で、鮮明な民族の特徴や濃厚な宗教色と芸術的な格調を持つ。古来よりチベット族の人々に珍宝とされ、中華民族芸術の非常に貴重な無形文化遺産でもある。

Kelly Art & Jason WineのCEOを務める荘尚諭氏は偶然の出会いから清代の牛革タンカを数十幅収集している。興味を持つコレクターとの交流を望んでおり、チベット仏教と中国伝来の仏教の文化フォーラムを計画準備している。より多くの人々に、仏教の古文物に触れ、漢族チベット族の人類に対する偉大な貢献を知ってもらいたいと考えている。

タンカはチベット語の音訳である(唐卡(Thang-ga)唐嘎、唐喀とも書かれる)。1500年前の吐蕃王朝第33代の王-ソンツェン・ガンポの時代に興った斬新な絵画芸術で、カラフルなサテンで表装した礼拝用の掛け軸である。

チベットタンカの歴史は古い。多彩な仏像やチベット族の歴史と風土や習慣を描いたものもあり、内容が豊富だ。構図は厳密で、バランスよく、豊かで、変化に富んでいる。ただ、朝廷の交代や社会の動乱で唐代宋代のタンカは少なくなり、現在宋代のタンカはポタラ宮に3幅を残すのみである。そのうちの2幅は古代中国でオーダーメイドされた絹のタンカである。

伝統的なタンカの製作には厳しい要求があり、手順は極めて複雑である。経文に書かれた作法(儀軌)と師の要求に従って進められる。作画前の儀式、キャンバスの製作、構図の下書き、着色染色、筆入れ、金と銀の描き入れ、開眼、縫い合わせなど系統立った行程がある。一つのタンカ製作には手間暇がかかる。短いものは半年、長いものは10年余りの歳月が必要となり、これもタンカの相場が下がらない理由である。前藏(ラサとその南の地域)のタンカの構図は緻密で、筆遣いは慎重、特に肖像画が優れており、人物の内面世界の描出に長けている。後藏(シガツェ市)のタンカは、線が精密で、華やかな風格を持ち、構図は飽満さにこだわり、筆も細かく、色付けは濃く派手で、細密画の画法に属する。

タンカに描かれる内容には仏像、歴史、神話伝説、伝記、天文、チベット医学薬学に関するものがある。

タンカの題材は広く、ありふれた仏像のタンカはその中で最も多く伝わる表現形式の一つである。大きさは百平方メートルのものから、手のひらサイズのものまで様々である。

タンカの品種と材質は更に多種多様で、多くは布や紙に描かれているが、牛革や羊の皮に描かれているものもある。

タンカは伝統的に全て金、銀、真珠、メノウ、サンゴ、ターコイズ、孔雀石、辰砂など貴重な鉱物や宝石、また、サフラン、ダイオウ、インディゴなど植物の顔料を使ってその神聖さを表している。数百年のときを経てもなお鮮やかな色合いを保っている。そのほかにも、刺繍、錦織り、つづれ織り、アップリケなどのある織物タンカや、様々な色彩が入り混じった模様に真珠や宝石が縫い付けられているものもある。美しさが凝縮されて鑑賞の価値も更に上がる。五色の柄物で一枚73cm×53cmの清代中期の牛革タンカは、11年前の北京鼎時國際秋季オークションで、66万人民元で落札された。

莊尚諭氏は、「一般的にタンカのコレクターは仏教への信仰心が厚く、安易にオークションにかけることはしません。皮革に描かれた仏教古文物のタンカをお持ちの方々と、相互交流のためのパイプを持ち、この貴重な文化遺産を共に世界中に広めたいです。」と語った。